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私の日本の本

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リッツィ ノーナンさん

20代 ニューヨーク州ニューヨーク市在住

世界一流と呼ばれるシェフ・レストラン・食品ブランドを顧客にもつN.Y.拠点の代理店「Care of Chan」のコミュニケーションマネージャー。ニューヨーク州ニューヨーク市出身。Wesleyan University 在学中にデンマーク・コペンハーゲンの大学で1学期を過ごし、そこでnomaをはじめとするノルディックフードブームに衝撃を受ける。美術史の学士号を取得した卒業後は美術の世界に進むが、3年前に現職のフードビジネスに転向。撮影場所は彼女がPRを手がけるハイエンドなメキシカンレストラン「Cosme」(コズメ)。

 おいしいもの、おいしい店を求めて世界の果てまで。そんなライフスタイルをもつ人々を表す言葉、Foodie(フーディ)。リッツィさんを含む姉妹たちはFoodieな両親の元に育ち、子どものころからレストランで様々な国の料理を口にしていた。「生粋のニューヨーカーは食べ物に対して2つに分かれるの。食に対して安定を求め、あまり冒険しない“コンサバ派”と新しい食べ物や食べ方にどんどん挑戦していく“好奇心旺盛派”と。私の家族も私自身も、もちろん後者よ。新しいレストランができればさっそく家族で出かけて、お互いに意見を交わす。知らない味付けや素材が出てくれば、気負いもなくシェフや給仕に質問を投げる。外食は我が家の大切な家族行事のようなもの」

 おいしい冒険を求めて、これまでいくつもの国を旅してきたというノーナン一家。昨年11月には念願の日本を訪ねた。「江戸前寿司を食べることを最大の目的に、家族5人で旅のプランを練り上げました。銀座の久兵衛は日本の知り合いに予約を頼み、それ以外は自分たちの直感に従って店に入ろうと決めていたの。ところが築地市場の場外で無数にあるお寿司屋さんに家族全員で圧倒されてしまって(笑)。あんな細い路地にまでお店があるとは思わなかったわ!」。嗅覚を頼りに入店した寿司屋が、老舗の名店である秀徳だったそう。カウンター越しに寿司職人の仕事を見て、会話を交わすことでリッツィさんは寿司の歴史の深淵に触れた気がしたと言う。「ニューヨークの寿司店も、一流と呼ばれるところは日本の江戸前に近いこだわりをもってやっていることが確信できました」。東京以外では京都と直島に滞在。写真にあるように、東京ではだしパックや昆布、京都では日本茶、直島では天然塩などを自分のお土産にした。

 日本の調味料について書かれた本書はニューヨークの紀伊國屋書店で手にした。「仕事をする上ではレストランのコンセプトやシェフのメッセージを伝えることはもちろんのこと、メニューそのものを深く知ることをおろそかにしないと決めています。そのために食材やスパイス、各国の食の歴史など学ぶようにしているので、この本を見つけたときはうれしかったわ。近年、料理の形態は和食に限らず日本の調味料を積極的に取り入れるシェフが増えていて、私自身もさらなる勉強が必要だと感じているところ。本書にはとても助けられています。日本で買い込んだ七味や柚子胡椒などの背景もこの本で知ることができたのよ」

和食調味料バイリンガルガイド

WASHOKUの基礎がわかる!

和食関連の英語対訳付きレシピ本は多々あるが、味噌、醤油、みりんなど必要不可欠な調味料の基礎知識を解説したものはまだ少ない。伝統と科学をふまえ写真でわかりやすく解説、商品紹介と用語集付きの必携本。

取材/高久純子 編集/藤田 優