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ロンドンで自分らしく抹茶を楽しむ

私の日本の本

ロンドンで自分らしく抹茶を楽しむ

ロンドンで自分らしく抹茶を楽しむ

アリアナ ソリスさん

20代 ロンドン在住

女優、シンガー。イングランド北西部、チェシャー出身。ロンドン・カレッジ・オブ・ミュージックで演劇を学び、卒業後はミュージカルを中心に舞台で活躍。英国内のディズニーミュージカルに出演、2015年には「オズの魔法使い」主役のドロシーを演じる。同年より、香港ディズニーランドのプリンセスキャストとして勤務。2016年に帰国後は、TVやCMを中心に俳優業を邁進。写真では、アリアンさんがロンドン市にある「かつて100」という日本のお茶を扱うカフェで抹茶を楽しんでいます。

初めて抹茶を口にしたとき、その予期せぬ苦味に思わずうめき声がこぼれた。お行事は、けしてよくなかっただろう。でもお茶を点ててくれたお店の方は、優しく笑って、甘いお菓子を勧めてくれた。ベビーピンクの、お花の形をした小さな和菓子。「それを食べたら、抹茶がとても美味しい飲み物に変わった気がした」とアリアナさんは言う。

 

子供の頃からミュージカルが大好きで、女優になると決めていた。年の近い弟にドレスを着せて、プリンセスたちのお茶会シーンを、幾度も一緒に演じさせたという。その経験が生きたのか、演劇学校を卒業すると、シンデレラやアラジンなどディズニーミュージカルで役を射止め、ついには香港ディズニーランドでプリンセスを演じることに。一年半の香港滞在中に、三週間の日本旅行へ出かけた。前述の抹茶体験もその時のものだ。「お茶会の体験はもちろん、お寿司、ふわふわのかき氷、自分で作るお好み焼き。日本で出会った美味しくて、かつ美しい食べ物を数え上げたらきりがありません。それは美味しいだけでなく、器やしつらえ、その色使いや手ざわりにまで、細やかなこだわりが感じられました。お茶のためだけに作られた茶室(!)、そして様々な茶の湯道具。素敵な茶器と共に、お茶の時間を楽しむことはイギリス人にも共通しますが、こういった様式美を大切にする日本の文化は、新鮮でとても興味深く感じました」

 

「茶ガールの休日」は、茶道のお作法に興味を持ちつつ、しかし敷居の高さを感じていたアリアナさんにとって、自由に自分らしくお茶を楽しむことを改めて教えてくれた。洋風な紅茶の茶器と、日本で買った急須や湯のみも気分でミックス。抹茶が苦く感じられる日は、ひとさじの蜂蜜を加えてスイートに。自分なりの感性でお茶の世界を楽しむようになったという。「実家では、母が自慢のハーブガーデンからミントやタイムを摘んできて、美味しいハーブティーを入れてくれるのですが、今度はぜひ、この本で紹介されている手順に従って、母にお抹茶をたててあげたいですね。お茶の時間のおしゃべりが、ますます弾むと思います」

茶ガールの休日

わび、さび、かわいい 茶道の世界が身近に感じられる、お茶好き女子必見のかわいい教科書

素敵なお茶碗や、お道具、テーブルセッティングの写真は見ているだけでわくわくします。季節に合わせて茶器をコーディネートしたり、和洋折衷のハーモニーを楽しんだり、自分なりにお茶の時間を工夫する新しいアイディアに溢れているところがお勧めですね。必要最低限のお道具リストや、抹茶の点て方など、基本的な情報が丁寧に解説されているところも心強いです。

(アリアナ ソリス)

取材/平川 さやか 英訳/デヴォン・ロイス・ダンカン 編集/矢野 文子