TOP 特集 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館ー通称「エンパク」
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館ー通称「エンパク」

歌舞伎

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館ー通称「エンパク」

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館ー通称「エンパク」

第二回  初心者として歌舞伎を楽しむ方法 

三代目歌川豊国 画「三人吉三」(1860年)

初めて歌舞伎の劇場に出かけることは、外国人に限らず日本人でも、誰であっても、躊躇する経験なのかもしれません。特に言葉の壁は、歌舞伎役者の台詞の理解を妨げるだけではなく、芝居の中に現れる貴重な日本文化面を聞き逃す場合もあり、芝居の真の意味が理解できなくってしまいます。歌舞伎を観るのが初めてでも、存分に楽しむにはどうすれば良いのでしょうか。

エンパクの副館長・児玉竜一氏は、歌舞伎を楽しむ秘訣は、見掛けほど難しくないと語ります。「歌舞伎を楽しむための最大の難関は、言葉の問題だと思います。ですが、少しだけ準備をしておくと、皆さんがよりよく理解し、楽しむことが可能になります」。歌舞伎の筋書き(プログラムのこと)やチラシには、芝居の物語の要約と、役者の芸歴が掲載されています。東京にある代表的な劇場、国立劇場や歌舞伎座、新橋演舞場には、外国人客にも親しんでもらえるよう、日本語だけでなく英語の音声ガイドや字幕パッドも用意されています。児玉氏の推奨は劇場に入ったら舞台が始まる前に、そうしたサービスを利用して、物語に少しでも慣れておくことです。「全然知らないよりはちょっと知っていた方が、物語にずっと入り込めますから」。

さらに歌舞伎をより楽しむためのとっておきの秘訣は、物語を事前に知ることだけではありません。「言葉がなくても伝わる所はたくさんあると思います」と児玉氏は補足します。「役者の芸に対する真剣な姿勢を感じとることができれば、自身がこれまでに体験してきたことと共通する点が必ず見つかるはずです。自分の感性や経験と共鳴してくるところが、きっとあるんじゃないでしょうか」。

歌舞伎と文楽のエンパク玉手箱

『演劇界』とのコラボレーションで生まれたバイリンガル歌舞伎ガイド

江戸時代から庶民の娯楽として日本の大衆文化に根付いた歌舞伎と文楽。この図録は、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(通称エンパク)90周年を記念して出版され、その幅広いコレクションから精選された所蔵品を掲載したものです。貴重な鶴屋南北の自筆や浮世絵など、研究書としても保存版の一冊です。この図録は、日本でもっとも古い演劇雑誌「演劇界」とのコラボレーションで完成しました。

写真/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 取材/デヴォン・ロイス・ダンカン