歌舞伎
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 – 通称「エンパク」
”全世界は劇場なり”
-シェークスピア
早稲田の「エンパク」とは、アジアで唯一の、そして世界でも有数の演劇専門博物館です。エリザベス朝時代のイギリスの劇場のような建物は、日本の演劇、文学、芸術などにおける偉大な先駆者の一人である坪内逍遙の偉業を顕彰するとともに、演劇資料の収集・保存をするために、1928年(昭和3)に設立されました。世界中からの広範な歴史的資料を所蔵し、映画や演劇の分野で働いている研究者に対して、豊富な情報を提供しています。常設展では文楽人形やインドの踊りのための仮面から、坪内が翻訳したシェークスピアの校正のような希少資料にいたるまで、多種多様な演劇に関わる資料-小道具・衣裳・美術工芸品に至るまで-を取り混ぜて公開することを特徴としています。
「よき演劇をつくり出すには、内外古今の劇に関する資料を蒐集し、整理し、これを比較研究することによって基礎をつくる必要がある」
- 坪内逍遙
エンパクは、1987年(昭和62年)に新宿区有形文化財にも指定されました。およそ100万点にもおよぶ膨大なコレクションは、90年以上にわたって培われてきた、希少な演劇の歴史そのものだと言われています。博物館の本分である展覧会の開催はもちろん、演劇講座を提供し、そして本館フロントステージでイベントを開催することもあります。AVブースでは、日本の伝統芸能に関する映画、芸能などが視聴できます。1997年(平成9年)にインターネット上にデジタル・ミュージアムを公開したことで、エンパクは学術データベースとして「演劇情報総合データベース・デジタル・アーカイブ・コレクション」を発展させてきました。
数多くの舞台写真、錦絵、衣装、小道具、そして図書館に所蔵された255,000冊の本も閲覧可能なこの博物館は、演劇人・映画人ばかりでなく、文学・歴史・服飾・建築などが好きな方々にも訴える魅力を持っています。
歌舞伎と文楽のエンパク玉手箱
『演劇界』とのコラボレーションで生まれたバイリンガル歌舞伎ガイド
江戸時代から庶民の娯楽として日本の大衆文化に根付いた歌舞伎と文楽。この図録は、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(通称エンパク)90周年を記念して出版され、その幅広いコレクションから精選された所蔵品を掲載したものです。貴重な鶴屋南北の自筆や浮世絵など、研究書としても保存版の一冊です。この図録は、日本でもっとも古い演劇雑誌「演劇界」とのコラボレーションで完成しました。
写真/早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 文/デヴォン・ロイス・ダンカン