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日本庭園の見方

日本庭園

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第四回:露地

京都の武者小路千家(むしゃこうじせんけ)のような安らかな路地(茶屋の庭)は、山の中の曲がりくねった道の涼しさをイメージしている。

露地は茶庭、つまり茶室に至る庭のことである。茶室と露地は、都市の中にありながら人里離れた山中に立つ田舎家の風情をイメージしており、「市中(しちゅう)の隠(いん)」ともいわれる。露地は狭い空間であるが、そこに造られた苑路(えんろ)は長い山道をイメージしている。そのため飛石は、山の中の曲がりくねった道を思わせるように曲線状に打たれることが多い。

露地は、露地門側の外露地と茶室側の内露地からなる。内露地と外露地の間に中門(ちゅうもん)が設けられる。中門は簡素に造られるが、京都の武者小路千家(むしゃこうじせんけ)の路地にある中門は笠を被った姿をしており「編笠門(あみがさもん)」と呼ばれる。露地の植栽は、苔や常緑の樹木がふさわしい。色彩や香りの強い種類は客の心を乱してしまうからである。

 

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イラスト/蓬生雄司 文/田中昭三