TOP 特集 風呂敷が結ぶ日本とテキサスの縁
風呂敷が結ぶ日本とテキサスの縁

私の日本の本

風呂敷が結ぶ日本とテキサスの縁

風呂敷が結ぶ日本とテキサスの縁

パッツィー ブラウンさん

40歳 テキサス州ヒューストン在住

ヒューストン日米協会エグゼクティブディレクター。テキサス州西部、オデッサ出身。韓国人の母とアメリカ人の父の間に生まれる。テキサス・クリスチャン大学(TCU)で社会学と政治学を専攻。大学3年生の夏期休暇にTCU大使として初来日。観光都市を周遊し、新潟県長岡市でホームスティを体験して日本人の礼儀や美学に感動する。卒業後は米国政府機関などでインターンを経験したのち、渡日を決意。JETプログラムで再来日した後、上智大学で日本語を習得、慶應義塾大学大学院でアートマネージメントを専修。法律事務所に6年勤務するなど計10年間日本に滞在。2011年ヒューストン帰国後、メニルコレクション美術館アジア ソサエティ テキサス センター を経て2013年から現職に。オフィス玄関にて撮影。

 ヒューストン日米協会で、日米の友好を深めるために積極的に文化活動を進めているパッツィーさん。協会唯一の社員として、受付から会計、マーケティング、会員管理にチャリティ活動、プログラムディレクターとひとりで何役もこなしている。その仕事の延長で、パッツィーさんは今回紹介する『ふろしきのココロ』の著者・小池百合子都知事と昼食会を共にする機会を得た。2年前、ヒューストンで開催された日米協定地域女性会合の席である。「元環境大臣ということもあり、小池都知事は地球温暖化に対する意識の向上や環境保全の必然性について熱く語っていらっしゃいました。そして参加者全員に風呂敷やエコバッグ(上記写真にあるハローキティのもの)をプレゼントしてくださったんです。私も日本で暮らしていたときは、贈り物として風呂敷をいただくことが多く、エコバッグ代わりに風呂敷をバッグの中にしのばせていたことを思い出しました。アメリカに帰国して以来、タンスの肥やしになっていた風呂敷コレクションを久しぶりに活用してみようという気持ちになったのです」

 そこで入手したのが、この本だった。本には風呂敷の基本の結び方と包み方に始まり、格の高い包み方、立体的なものの包み方、バッグとして活用する方法などが写真でわかりやすく紹介されている。「一枚の布から何通りもの美しい包み方や使い道が生まれるとは目からウロコ! 包む文化は、日本ならではの美学ですね」

 2018年はヒューストン日米協会設立50周年にあたり、イベントが目白押しだ。「テキサスに戻った当時は、自分が日本とアメリカをつなぐ架け橋となる仕事に再び就けるとは想像していませんでした。JETプログラムで滞在した岩手県九戸村の3年、そして東京に移って計10年。人と人のつながりを大切にすることでさまざまなことが解決できると教えてくれたのは日本の人たち。顧客のニーズを予測するもてなしの能力、敬意をもって全力で尽くすことも日本滞在中に培われたものです。この仕事に就けたことを心から感謝しているんです」

ふろしきのココロ

小池百合子氏の完全英訳付きふろしき活用本

この本は包む美しさとエコロジーを教えてくれる、小池百合子都知事による現代人への素晴らしいインビテーションです。風呂敷に包んでモノを贈るという行為には、相手に畏敬の念を抱き感謝する日本の哲学が根底にあることがわかります。本の構成はとても巧みで、小池氏とふろしきの歴史に始まり、彼女のエコロジーの観点から見たふろしきの魅力や活用法、由来、そして写真やイラスト付きの包み方などが簡潔にまとめられています。読後は私のように風呂敷を使いこなしてみたい気持ちになるでしょう!

(パッツィー ブラウンさん)


取材/グラント里香 編集/藤田 優