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リブレリア・アクア・アルタ、またの名を高潮書店

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リブレリア・アクア・アルタ、またの名を高潮書店

リブレリア・アクア・アルタ、またの名を高潮書店

リブレリア・アクア・アルタ

住所 Calle Longa Santa Formosa 5176 B 30122 Venezia (VE) Italy
営業時間 毎日 09:00 – 20:00
ウエブサイト

水に浮かぶ都市ベネチアにあるこの書店は、たびたび襲来する水害から蔵書を守るため、常に油断なく守りを固めている。

サンマルコ広場とリアルト橋のほど近く、入り組んだ運河と路地、いくつもの橋が作り出す迷路にひっそりと隠されたベネチアの不思議のひとつ。それがリブレリア・アクア・アルタ。

世界で「唯一の水中書店」とBBCから評されたその書店名は「アクア・アルタ」、つまりベネチアを囲む潟で定期的に発生する「高潮」現象に由来する。冬季、アドリア海北部の異常な高潮は運河の水を溢れさせ、道路や建物まで、街一帯を浸水させる。特に2019年11月には、ユネスコ世界遺産に登録されるこの美しい都市を半世紀史上最悪の洪水が襲った。水位は187センチに達し、町の80%が浸水、緊急非常事態が勧告された。

世界中が気候変動に伴う極端な気象現象に直面するなか、リブレリア・アクア・アルタは、歴史と芸術的遺産を自然災害から守り抜くというベネチアの確固たる姿勢を代弁している。

 

多言語に通じた旅人 ルイージ・フリッツォが、水をテーマとした書店を旧倉庫の一階部分に設立したのが2004年のこと。それ以来、たびたび起こる洪水と、そこからいかに蔵書を守るかという絶え間無い攻防戦が、この書店の独創的な店内陳列を生み出すこととなった。それは、とにかく浮かぶものなら何でも書棚として使うこと。バスタブ、ボート、カヤック、さらにはフルサイズのゴンドラまでもが店内に並び、もれなくその上に書籍が積み上げられている。だから満潮がやってきて店を浸水させたとしても、本は乾いたまま水に浮かぶこととなる。水と塩で傷んでしまった百科事典や書籍ですら、廃棄されることなく中庭の壁に沿って地面から天井まで積み上げられたり、運河のパノラマに面した階段のステップとして、それ自体が家具へと生まれ変わり使用されている。客を直接運河に避難させることのできる消防用の非常口も、この店の見どころの一つだ。

とはいえ、インスタ映えするビジュアルだけが店の長所ではない。あらゆる言語で書かれた10万冊以上のコレクションこそが最大の魅力。地図帳、辞書、歴史書、芸術書、映画やフードに関するもの、加えてベネチアにまつわる希少本、ポストカードやプリント、ギフトアイテムやコミック専門コーナーまで、新旧の掘り出し物に出会える。

リブレリア・アクア・アルタは、せわしない観光地を離れ、ひとときの休息を求めやってくる本の愛好家にとっては、まさにパラダイス。ベネチアの猫たちも、この店の書物の上こそ、印刷物の香りに包まれて、気持ちよく昼寝ができる絶好の場所であることを、よく知っている。なにしろ急な高潮で濡れ鼠になる心配もないのだから。

本を守ろうとする猫の話

『神様のカルテ』シリーズ外、初の長編!

高校生の夏木林太郎は、書店を営む祖父と二人暮らし。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。伯母に引き取られることになり本棚の整理をしていた林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れる。

写真提供:リブレリア・アクア・アルタ